ツクール製のフリーゲーム、タオルケットをもう一度シリーズが傑作、のこと

カオスなフリーゲーム界のなかでも、ツクール製のゲームに、時々ものすごい怪作が潜んでいるのは、あの名作ゆめにっきをプレイしたことがある方なら用意に想像がつくと思います。


とある2chスレで印象的なタイトルを目にし、その評判の高さにやってみた「タオルケットをもう一度2」。事前情報として、ある程度傾向を知っていたのにもかかわらず、思わずモニタの前で「ぎゃー」と叫び声を洩らすほど、衝撃的な作品でした。こういうゲームは、フリーゲームの世界でしかお目にかかれないでしょう。まさにフリーゲームの醍醐味。こういうのに出会えたときの興奮は言いようのない。冷めやらぬうちに言葉にしてみたくなってしまいました。興味を持っていただければ幸いです。

http://www.vector.co.jp/soft/win95/game/se454631.html
牧場で暮らす主人公は、仲良しの女の子「ぱりぱりうめ」と平和な日々をすごしていた。しかしある日、主人公の可愛がっていた牛が謎のUFOにさらわれてしまう。牛を心配する主人公は、ぱりぱりうめの協力で必死に探し始める。しかし、次は主人公が宇宙人の手に…。


タオルケットシリーズは、3(現在入手不可)→2→3(リメイク)→1の順に発表されていますが、それぞれ独立しているので、どの作品からやり始めても問題はないと思います。私は発表順(2、新3、1)にプレイしました。


以下、連想する作品とか(こんなの好きな人にはお薦めしやすいです)をあげつつ、軽く内容に触れています。まったくネタバレ無しでやってみたい人は読まない方がいいかも。


◆MOTHERシリーズ
グラフィックを少し見れば、まず真っ先に思い浮かぶのはMOTHERシリーズ。序盤の寝癖頭の主人公や、ドアのノックの叩き方など、わかる人はニヤリとさせられるオマージュもありますし。でも、グラフィックがMOTHERっぽいよね、というだけにはとどまりません。
侵略宇宙人との対決、という大テーマも共通しているところです。個人的にはMOTHER3の雰囲気に近いと思います。(侵略の魔の手がかなり喉元まで差し迫り、世界が歪んでいくところ、それに対して世界そのものが挑んでいくところが。2も、終盤のオネットなど侵略は進むんですが、最終的に主人公とその周りだけが世界の危機に挑んでいるという感じなので。ラスボス前だろうが、サマーズなんて相変わらずのリゾート地ですしね。)
ただし、この作品にあふれる悪意は、MOTHERシリーズのそれとは比較になりません。3のトラウマアイランド、タネヒネリ島のポストの中身と、生を奪われた子供クラウスの心の闇をことこと煮詰めて凝縮したようなどす黒い毒です。(MOTHERシリーズのブラック度もダントツで3だと思います。)
「こころのなか」というシステムも、本編で経験した様々なこと、出会った人々が心の中に現れる、という点でマジカントを彷彿とさせます。プレイヤーは、いつでも心の中に戻って、思い出と向き合うことができる、記憶をなくしてしまった主人公に対する、救済なのかもしれません。

◆ゆめにっき
最後のマップがゆめにっきのそれと似ている、というのもよく言われますが、ゆめにっきの、ストーリーが定まらない、悪夢のようなふわふわした感じ=プレイヤーにゆだねられた物語ではなく、一見夢のようにみえても、残酷なまでの現実が描かれた、明確なストーリーラインがあるのが違うところでしょう。また、RPGツクール製ですからゆめにっきの方が特殊なのですが、戦闘システム、レベルアップシステムがあり、きちんとRPGの体裁をとっている所も相違点です。とはいえ、戦闘で負けてしまうことは、まずないといっていい程度のバランスですが。武器やアイテムの名前なども世界観を構築する一翼を担っている、というか、独特なものが多いので、あまり飽きません。めんどくさければ、敵シンボルをよけてさくさくと進む事もできますし。

カイバ(アニメ)
可愛いらしい絵柄、世界観で、淡々と骨太なSFをやっているところ。また性的だったりグロがあるところも似ているなーと感じました。記憶を失った主人公、複製された自我、自分とは何か?愛とは何か?といったテーマでも共通性を感じます。このアニメはちょっとマイナーですが超名作なので、ここで知った人も是非是非みてください。

ゼノギアス
はい、いやな予感のした方、多分それで正しいです。背筋の凍るSFホラー、みんなのトラウマ、ソイレントシステム。



私の感想。牛ちゃんラヴ。(かなりネタバレなので隠します)
ぱりぱりうめー!はたぶん皆が心をえぐられてるので(もちろん私もですよ)、ここでは私が切ないなーと思った、牛ちゃんについてです。主人公が全く記憶をなくしてしまったのに対して、牛ちゃんは、平和だったころ、主人公に可愛がられた日々の思い出から、自分が宇宙人によって改造された存在であることまで全てを自覚しておりながら、最後まで主人公のそばにいたんだと思っています。改造牛にされたことで得られた本来あるべきではない幸せ(=愛の結晶)も、全てを承知で受けとめている母性を感じました。そういえば、伴侶の牛だけではなく、どこにいる牛ちゃんも、基本的に人間のことを愛していて、献身的に励ましてくれます。宇宙人の館で、ぱりぱりうめのことを心配してくれる牛ちゃんも印象的。改造されても、人間との絆は残ったんですね。最後も、きっと運命を受け入れて死んでいったんだろうな。何も言わないけど、主人公の手で終わりにしてくれてありがとう、という気持ちで。無条件の愛を注いでくれて、ずっとそばにいてくれて、ありがとう牛ちゃん。こんどこそ、ぱりぱりうめを幸せにしてくるよ。


参考:タオルケットをもう一度wiki
http://www39.atwiki.jp/ta0rukettow0mouitid0/

タオルケットをもう一度3、タオルケットをもう一度1についても、そのうちなんか書きたいです。でぅでぅでぅ。